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KLM

KLMは始まりのABC、終りのXYZの中間に位置する途中経過という意味です。 でも、理系の管理人なのでK殻L殻M殻という意味もあります。

現実ってこんなもんだよね、って。そんな話。

連日続いてる赤葦くん夢の、裏ルート。
もしかしたらこんなことがあったかもしれないけど、全然関係ない話。
全体的にエッチな雰囲気。むしろふいんき。
時間切れだったので、めっちゃ歯抜けの尻切れトンボです。途中セリフしかなかったり。このお話はもっとねちねち、1万字ぐらいかきたい。


デフォルト:桐崎 啓(きりさき あきら)

書きかけだよ、ちゃんと終わってないよ、いつも以上に支離滅裂だよ





(if、ちょっぴりアダルトルート)



その日は悪いことが重なった。制服のブラウスにお味噌汁をこぼして、新しいブラウスに着替えた。そうしていたらバスの時間ぎりぎりになってしまって、ちゃんと天気予報を見ていたのに、慌てて家から出たせいで傘を忘れて。しかも、頑張って走ったのに目の前でバスが行った。嘘でしょ、というつぶやきは激しさを増す雨音にかき消された。
その後も悪い事は続いて、バス停から学校まで歩く間に全身ずぶ濡れ、おろしたてのブラウスは見るも無残。ローファーはぐしょぐしょ。体操服に着替えようとロッカーを開ければ、洗濯しようと昨日持ち帰ったところ。少しでも乾かそうとカーディガンを脱いで、手洗いで絞ろうとしたら男子に透けブラと指差され笑われた。
なんでこんなことに、って生理前の情緒不安定も影響してか、制服を絞りながら涙がこぼれる。

「桐崎泣いてンのか?」
「濡れてるからそう見えるだけでしょ」
「いや、泣いてンだろ」
「泣いてない」

とどめと言わんばかりに、泣いている姿を木兎くんに見られた。最悪だ。最悪最悪最悪、サイテーな気分。

「着替えねーの」
「うるさい」
「風邪引くぞ」
「うるさい」
「心配してやってんのに」
「うるさい!ほっといて!!」

八つ当たりなのはわかってる。けれど、止められない。桐崎コエー、と教室とは反対方向に歩き出す木兎くんに悪いと思いつつも、今は一人でいたかった。これ以上話していたら、きっともっとひどい事も言ってしまう。
落ちている気分に自己嫌悪も加わって、いっそ吐き気がする。焼けそうなほど心が熱い。けれど、雨にうたれて体はどんどん冷えていく。このまま風邪をひいたことにして、帰ってしまおうか。それとも、帰るふりをしてどこか遠くに行ってしまおうか。

「ほら、俺の貸してやるよ」

冷たかった体に、ふわりと温かさが戻る。木兎くんはわざわざ部室まで戻って、ジャージとタオルを取ってきてくれたらしい。あんなにひどい事を言ったのに。

「バカは風邪引かねーって言うけど、桐崎カシコいじゃん?俺はどうせジャージ着ねーし」

じわじわとジャージが体を温めて、荒ぶっていた心を静めていく。でも、まだささくれ立った心では素直になれず、小さくありがとうと言うだけで終わった。
木兎くんのジャージはとても大きくて、上はまだしも下は何回折っても裾を引きずるので大変だった。しかも木兎くんの名前入りバレー部ジャージを着ているものだから、周囲の視線が痛い。きゃあきゃあ色めき立つ周囲が鬱陶しい。今日に限っては、遠巻きに様子を窺う友達にさえも苛立ってしまう。ふん、と無視して机に伏せれば、机の冷たさが気持ちよかった。

「桐崎ダイジョーブか?」

揺り起こされて、目が覚める。顔を上げるともう先生はいなくて、かわりに周囲の雑音と木兎くんの声が聞こえる。

「いま、なに…」
「昼休み。桐崎ずっと寝っぱなし」
「せんせなんか言ってた?」
「桐崎具合わりぃけど、授業受けたいらしいからこのままで、つっといた」
「ありがと」

風邪を引いたことにしてサボりたいとは思ったけど、まさか本当にこの短時間で熱を出すとは思わなかった。病は気から。とことん気が滅入ってる今なら、病魔も喜んで寄ってくるのだろうか。ぐらぐらする頭を押さえても、

「保健室行くぞ」
「やだ。歩きたくない」
「しゃーねーなー。ほれ、背中乗れ!」


「木兎さん…と、もしかして背中の人は桐崎先輩ですか」


(放課後、急病人が出たので付き添いで先生不在の保健室)
「桐崎生きてっかー」
「生きてる。ありがとう、だいぶマシになった…」
「おー、半分以上いつもの桐崎だ」
「朝からご迷惑おかけしました」
「いーって、普段メーワクかけてっし」
「そういえばそうだね」


「なら、俺にうつせば?人にうつすとよくなるって言うし」
「木兎くん部活あんじゃん。バレー出来なくなるよ」
「ヘーキヘーキ、俺バカだから風邪なんか引かねーよ」
「責任取らないよ」
「それは俺も」


「キスはダメ。キスするならしない」
「なんだよ、ソレ。キスよりすげーことすんのに、おっかしーの」
「処女は面倒だし捨ててもいいかなって思ったけど、ファーストキスはとっとくの」
「ヘェ、惚れた相手の為に?」

うん、と頷くと、木兎くんはわたしの首筋に噛みついて行為を始めた。
色々な所を触られて、気持ちいい所もあったし、何も感じないところもあった。破瓜の瞬間はめちゃくちゃ痛くて、セックスって気持ちいいものじゃなかったのかとひどく落胆した。



「セックスしたらさ、もっと木兎くんの事好きになるかと思った」
「どーだったん?」
「何も変わらなかったよ」

時間にして、わずか15分ほど。たった15分で、初セックスは終わってしまった。漫画とかドラマで愛し合う二人が幸せそうに行う行為は、所詮夢物語でしかないのだと現実を突き付けられた気分だ。
自分を見失うくらいの快感や、感じたことのない快楽、どうしようもない性への興奮なんて、そんなものはなかった。

「がっかりだよね」

嫌なことがあって、自暴自棄になって、今迄の自分に別れを告げたくてセックスしてみたはずなのに、わたしは何も変わっていない。

「えー、ソレ俺がヘタって言ってんの?もっとすごいとこ見せてやろーか?」
「やだ。気持ちよかったけどめちゃくちゃ痛かったし」
「俺も桐崎のナカ狭すぎて、俺もちんこ痛かったからお互い様だろ」
「なんてゆーの、経験したらもっと違う世界が見えるかと思ってたけど、全然、普通。いつも通り」
「そりゃ、俺らがヤったくれーで世界は変わんねーよ」

まさか木兎くんに諭される日がこようとは、夢にも思わなかった。確かに高校生二人がセックスをして世界が変わるなら、世界は秒単位で変わっている。いや、本当は世界は秒単位で変わっているのかもしれない。わたしはわたしが世界を見る目が変わると、そう期待していたんだ。
現実は残酷で、15分時間が経った以外何も変わっていない。もしかしたら木兎くんのことを好きになるのかも、なんて考えていたけれど、そんなこともない。もっとぎくしゃくしたりするのかとも思ったけれど、いつも通りで拍子抜けしたくらいだ。セックスって、その程度の物だったのか。

「処女を無駄にしたー」
「無駄ってなんだよ、無駄って」
「でも、セックスを知れたから無駄でもないのか」

中途半端に脱がされた制服を整えて、少し湿ったショーツに足を通す。自分の体液がしみこんで冷たいショーツは、お前はもう処女じゃないんだぞと現実を突きつけてくるようで鬱陶しい。

「うわ、シーツに血ぃついてる。どーすんだよコレ」
「先生居ないし、気づかなかったってことにする」
「桐崎サイテーだな」

ケタケタと木兎くんが笑うので、わたしも笑った。
うん、サイテーだ。色々うまくいかずに木兎くんに八つ当たりして、少し優しくされたからって好きでもない人に体を許して、処女を散らして。どうしようもないくらい最低だ。

その日以来、わたしはわたしが嫌いになった。


2019.05.23
たぶん2年生なった初めごろの話。そして、赤葦くんとキスしてセックスして世界が変わる話を書きたい。まずは本編…先は長い。実は風邪じゃなくて生理前の高温期でだるかっただけってオチを挟みたいんだけど、どこにはさめばいいのかな。

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